
こんにちは。
首都圏の各私立中学校高等学校が次年度の入試や仕様面の変更点などを発表する時期となりました。
その中でまず目を引いたのが、東京都港区芝にある「東京女子学園中学校高等学校」です。
4月18日に同校のwebページで発表したのですが、来春から校名変更をおこなうとともに、女子校から共学校へとシフトするとのこと。新たな校名は「芝国際中学校・高等学校」となるそうです。
また、先日学校説明会で発表されたらしいのですが、東京都大田区本羽田にある「蒲田女子高等学校」が「羽田国際高等学校」へと校名を変え、こちらも共学化を図るそうです(中学校からの募集もこの数年のうちに再開する予定のようです)。
そういえば、2015年には東京都世田谷区用賀にある女子校「戸板中学校高等学校」が「三田国際学園」と校名変更・共学化を果たし、2022年には東京都北区赤羽台の女子校「星美学園中学高等学校」が共学化し、名称を「サレジアン国際学園中学高等学校」に、2023年には東京都世田谷区大蔵にある女子校「目黒星美学園中学高等学校」が共学化し、「サレジアン国際学園世田谷中学高等学校」となる予定です。
これらの共通点は、共学化を図っているということです。
「国際」は時代に合っているのか
そして、もうひとつお気づきになりませんか?
新しい学校名の中に「国際」という単語が含まれているという点です。
グローバル教育が叫ばれ、国内大学から海外の大学へ目を向ける子どもたちが増えていることもあり、「国際」という単語を校名に盛り込むことで、その時代の潮流にわが校も乗るという宣言なのでしょう。
一方、昨今の世の中は不安定です(安定していた時代はあったのかという突っ込みがありそうですが)。
円安は加速度的に進行している、世界規模のコロナ禍はまだまだ終息の気配すら見せない、ロシアのウクライナ侵攻により世界そのものの姿が大きく変わるかもしれない……。
このような情勢の中、日本のこれからの教育、日本人の若者たちの進路は果たして「内向き」のものになるのか、反対に「外向き」のものになるのか、なかなか見えない状況です。
「国際」を冠する学校の教育内容が時代に合っているのか、それとも時代に逆行したものとなるのか、現時点で分かっている人などもちろんいないでしょう。
進路指導に注力する武蔵の改革
そういえば、先日刊行された『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)の特集記事「わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾」の中に男子校・武蔵の校長・杉山剛士先生のインタビューが掲載されていました。そのタイトルは「『受験教育は悪』から脱却し生徒の進路指導に注力する」です。国内大学の進学実績だけを考えるのではなく、海外大学進学へのサポートも手厚いものに変えていくとか。
拙著『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(文春新書/文藝春秋)で武蔵卒業生のこんなコメントがあります。
その当時に在学していた武蔵生たちはこの杉山先生のインタビューを読んだらびっくりするに違いありません。
果たして、この武蔵の「改革」はいまの時代に合っているのか、あるいは、逆行しているのか。
どう感じるかで、その人の(主に教育についての)価値観が透けてみえてきそうですね。
「各国交際」の行く末は……
最後に余談を。
「国際」という表現は明治時代になって用いられ始めた和製漢語であることをご存じでしょうか。
『日本国語大辞典』を引くと、「五誌(1)」に次のような記載が見られます。
なるほど、「国際」とは「各国交際」から生まれたのですね。
これからの日本は各国とどのような「交際」をおこなっていくのでしょうか。何か大きな変化があるのでしょうか。それがこれからの日本の中高教育の行方に影響を及ぼしていくのでしょうね。