※本記事は、Youtubeチャンネル「令和の中学受験 | 矢野耕平」にて取り上げられた動画「【2027入試】城北中「2/1午後入試・算数選抜」サンプル問題を徹底解説!」のテキスト版となっております。動画と合わせてご覧ください。
この記事では、城北中学校が公開している算数選抜のサンプル問題をもとに、スタジオキャンパスの内田先生が、問題の考え方と出題傾向を解説します。サイコロの問題では「理由を説明する力」、円すい・正三角すい・直方体の問題では「作図して考える力」や「展開図に直す力」がポイントになります。単に答えを出すだけでなく、条件を整理し、図や式に表し、なぜそうなるのかを説明する。今回のサンプル問題からは、城北中学校の算数選抜で求められる力が見えてきます。
こんにちは。スタジオキャンパスの内田です。
今回は、2027年度入試から始まる城北中学校の「2月1日午後・算数選抜」について、学校から公開されたサンプル問題をもとに見ていきます。
中学受験において、算数は得点差がつきやすい科目です。だからこそ、城北中学校で新たに始まる算数選抜で「どのような力が問われるのか」は、受験生にとっても保護者の方にとっても気になるところでしょう。
今回のサンプル問題を見ていくと、単に答えを出す力だけではなく、条件を整理する力、図に表す力、そして自分の考えを筋道立てて説明する力が重視されていることが読み取れます。
城北中学校の算数選抜で問われそうな力
城北中学校が公開したサンプル問題では、基礎的な知識や計算力を土台にしながら、考える力・判断する力・表現する力を総合的にみるという方向性が示されています。
この「表現する力」という点が、今回のサンプル問題を見るうえで大きなポイントになります。計算して答えを出すだけでなく「なぜそうなるのか」を説明したり、立体を展開図に直して描いたりする形式が含まれているからです。
ここからは、サンプル問題の流れに沿って、どのような考え方が必要になるのかを見ていきましょう。
サンプル問題1:サイコロの問題は「理由説明」がポイント
まずはサンプル問題1です。

設定は、1個のサイコロを投げて、出た目が偶数なら右へ1マス、奇数なら左へ1マス動くというものです。ただし、コマがスタート地点Sにあるときに奇数の目が出た場合、Sの左には動けないので、コマはSにとどまります。そして、はじめてGに達したときにゲームは終了し、それまでに出た目の和を得点とします。
3回でゴールする出方は「奇数・偶数・偶数」だけ
問題では、3回投げてゲームが終了したとき、得点が偶数になるような目の出方はあるかが問われています。ある場合は例を一つ書き、ない場合はその理由を書く形式です。
ここで大切なのは「いきなり目の組み合わせを数えようとしないこと」です。
SからGまでは、右に2マス進む必要があります。偶数が出ると右へ1マス進み、奇数が出ると左へ1マス戻る。
ただし、Sでは左へ動けません。
この条件をふまえると、3回でGに到達する動き方は一つしかありません。
2回目は偶数で、右へ1マス進みます。
3回目も偶数で、さらに右へ1マス進み、Gに到達します。
つまり、3回でゲームが終了するための出方は、
奇数・偶数・偶数
に限られるわけです。

得点が偶数にならない理由を説明する
では、このとき得点は偶数になるでしょうか。奇数に偶数を足し、さらに偶数を足すと、和は必ず奇数になります。
たとえば、
\[
1+2+2=5
\]
\[
3+4+6=13
\]
というように、どの目を選んでも、奇数・偶数・偶数の和は奇数です。
したがって、3回投げてゲームが終了したとき、得点が偶数になるような目の出方はありません。
この問題で見えてくるのは、答えだけでなく「なぜそう言えるのか」を説明する力です。場合の数として何通りあるかを数えるだけではなく、条件を整理し、自分の言葉で理由を書けるかどうかが問われています。
サンプル問題2:作図と展開図から考える図形問題
続いて、サンプル問題2です。

こちらは図形の問題です。いくつかの三角形の紙と立体があり、その立体の表面に三角形の紙を貼ったとき、展開図にその三角形を描き入れたり、角度や面積を求めたりする問題になっています。
円すいは展開図の中心角から考える
まず取り上げるのは、円すいの側面に1辺6cmの正三角形の紙を貼る問題です。図では、円すいの母線が6cm、底面の半径が4.5cmと示されています。
最初に考えるべきなのは、円すいの側面を展開したときの扇形の中心角です。

円すいの側面の展開図では、扇形の半径が母線の長さになります。今回の母線は6cmです。一方、底面の半径は4.5cmですから、展開図の弧の長さは、半径4.5cmの円周と同じになります。
したがって、展開図の中心角は、次のようになります。
360^\circ \times \frac{4.5}{6}=270^\circ
\]
つまり、この円すいの側面は、中心角270°の扇形として描けるわけです。

次に、そこへ1辺6cmの正三角形を描き入れます。正三角形ですから、1つの角は60°です。展開図上では、扇形270°のうち、正三角形が占める部分が60°分にあたります。
では、これが底面の円で見ると何度分にあたるのか。
展開図の弧のうち60°分の割合は、次のようになります。
\[
\frac{60}{270}
\]
です。底面の円は360°ですから、角アは、
\[
360^\circ \times \frac{60}{270}=80^\circ
\]
答え 80°
この問題も、単に角度だけを求める問題ではありません。まず展開図を描き、貼られた正三角形が展開図上でどのように見えるかを把握し、そのうえで角度を求める構成になっています。頭の中だけで立体を処理するのではなく、必要な図を自分で描いて考える力が求められているといえるでしょう。
正三角すいの問題:展開図に直して面積比を求める
次に、正三角すい、つまり正四面体の問題を見ていきます。

問題では、4つの面がすべて1辺4cmの正三角形でできている正三角すいABCDのまわりに三角形の紙を貼ると、3つの面にまたがって貼られた、という設定になっています。
ここでも、まずやるべきことは「展開図を描くこと」です。
正四面体は、合同な正三角形4枚でできています。展開図はいくつか考えられますが、1枚の正三角形に3枚の正三角形をつける形にすると、比較的見通しやすくなります。そこに、立体の表面に貼られている三角形の紙を写し取っていきます。
立体の表面に貼られている三角形は、面をまたいで折れ曲がって見えています。
そこで、展開図に直して、平面上の図形として考える必要があります。
展開図に直したら、求めたい三角形を直接求めるよりも、全体から不要な部分を引くほうが考えやすい形になります。

正四面体の表面積全体を1と見ます。貼られた三角形の外側にできる3つの三角形を引いていくと、それぞれ全体に対して、
\[
\frac{5}{16},\quad \frac{1}{8},\quad \frac{9}{32}
\]
にあたります。
したがって、貼られた三角形の紙の面積は、以下の通りです。
\[
1-\frac{5}{16}-\frac{1}{8}-\frac{9}{32}
\]
通分すると\[
1-\frac{10}{32}-\frac{4}{32}-\frac{9}{32}
=\frac{9}{32}
\]となります。
つまり、正四面体の表面積を1としたとき、貼られた三角形の紙の面積は \(\frac{9}{32}\) です。
よって、求める比は、次のようになります。
1:\frac{9}{32}=32:9
\]
この問題も、ポイントはやはり展開図です。立体図形の問題では、見取り図だけを見ていると、長さや面積の関係がつかみにくくなることがあります。
ところが、展開図にして平面上に置き直すと「どことどこがつながるのか」「どの三角形を引けばよいのか」が見えやすくなります。
直方体の問題にも共通する「作図して考える力」
サンプル問題2には、さらに直方体の表面に三角形の紙を貼る問題も含まれています。
こちらも、直方体の展開図と貼られた三角形の紙を描き入れ、その面積を求める形式です。
円すい、正三角すい、直方体と立体は変わりますが、問われていることの芯は共通しています。
それは、立体をそのまま眺めるだけでなく、展開図に直して考えることです。
■ この線はどの面を通っているのか
■ 貼られた図形は、平面に開くとどんな形になるのか
こうしたことを一つずつ整理できるかどうかが、正答への大きな分かれ目になります。
算数選抜では「考え方の見える答案」が求められる
今回のサンプル問題を通して見えてくるのは、城北中学校の算数選抜では、通常の4科入試と同じような題材を扱いながらも、問い方が少し変わる可能性があるということです。
サイコロの問題では、場合の数を数えるだけでなく、なぜ偶数の得点にならないのかを説明する力が問われました。
円すい、正三角すい、直方体の問題では、答えだけを出すのではなく、展開図を描き、そこから考える力が求められました。
つまり、算数選抜では、以下の3つの力がはっきり問われると考えられます。
2. 図や式に表す力
3. なぜそうなるのかを説明する力
これは、特別な難問ばかりを解けるようにするという話ではありません。
むしろ、普段から解いている問題について
■ なぜ「その式」になるのか?
■ なぜ「その図」を描くのか?
■ なぜ「その答えだと言い切れる」のか?
これらをていねいに確認することが大切です。
算数の学習では、答えが合っているかどうかに目が向きがちです。
しかし、入試で本当に差がつくのは、答えにたどり着くまでの道筋を自分で組み立てられるかどうかです。
▼以下の記事にも「答えにたどり着くまでの道筋組み立てのヒント」を記載しています。
城北中学校の算数選抜を考えるうえでも、過去問演習では「解けた・解けなかった」だけで終わらせず
といった練習を重ねていきたいところです。
この記事を監修した人

内田実人
スタジオキャンパス算数・理科担当。首都圏大手塾で管理職を務めたあと、関西の進学塾にて「修業」。2020年以降、スタジオキャンパスで教鞭を執る。ビジネスジャーナルの連載をはじめ、教育雑誌にも登場する実力派。現在、プレジデントFamily中学受験部の連載記事「入試問題にトライ!」を執筆。
※本記事の算数に関する解説内容を監修しています。






