中学受験算数|西暦問題を既約分数で解くポイントをわかりやすく解説
西暦を使った入試問題では、単に計算を進めるだけでなく、「その数にどんな性質があるのか」を見抜くことが大切です。しかし、分数の和や約分が絡むと、式が複雑に見えて、どこに注目すればよいのかわかりにくくなりますよね。内田先生の「入試算数の深層」では、解法暗記では届かない中学受験算数の考え方を、思考の設計図としてていねいにたどります。今回は、普連土学園の「既約分数」の問題を通して、2022という西暦にひそむ数の構造を読み解きます。

西暦を使った入試問題の面白さ

みなさん、こんにちは。

毎年、中学入試問題を見るときとても楽しみにしていることがあります。次の年にはどんな問題が出題されるのか講師や生徒とともに予想してみたり......。

それは、その入試の年度(西暦)の数を使った問題です。かつてはその西暦と元号(和暦)を組み合わせた、今となっては「伝説」ともよべる問題が「灘中」で出題されたこともあります。

平成元年(昭和64年)は西暦1989年である。昭和の時代には、西暦の年数が昭和の年数で割り切れる年は全部で 回あった。

 にあてはまる数を答えなさい。

(1989年度 灘)

毎年数え上げればきりがないくらい、西暦(今年度であれば2026)を使った問題の出題があります。数列や周期における“2026番目を求める”、あるいは“2026は何番目?”といった問題を含めると無数といってよいでしょう。そんな“~番目”といった問題を除いたとしても、“上手に問題作るなあ”とか“なるほどこれは頭を使わせる良い問題だ”と思う出題が毎年ありますね。

たとえば、“2022のように1つの数字を3個、別の数字を1個並べて作られる整数の個数”、“2023を連続した整数の和で表す”、“四則演算の記号を使って2024を作る”、2025年度にいたっては2025=45×45ということもあり、さまざまな学校で「平方数」に関する出題が見られました(予想がズバリ的中した問題もありました!)。

今回取り上げるのは普連土学園の「既約分数」問題

そんななかで今回は、普連土学園の問題を取り上げてみました。

問題

整数を入力したとき、その整数を分母とする分数(分子は1からその整数の1つ前の数まで)の合計を計算してくれる装置があります。たとえば5を入力すると、\(\frac{1}{5}+\frac{2}{5}+\frac{3}{5}+\frac{4}{5}=2\) が出てきます。ただし、6を入力すると、\(\frac{1}{6}+\frac{5}{6}=1\) が出てきます。この装置は、約分できるものは分母が変わるため合計しない仕組みになっています。このとき、次の二人の会話を読んで空欄に適するものを入れなさい。

町子: それでは早速実験してみましょう。7を入れたらどうなるかしら。

三太: \(\frac{1}{7}+\frac{2}{7}+\frac{3}{7}+\frac{\square}{7}+\frac{\square}{7}+\frac{\square}{7}\) を計算すればよいから、だね。

町子: その通り。では19と31を入れてみて。

三太: \(\frac{1}{19}+\frac{2}{19}+\frac{3}{19}+\cdots+\frac{18}{19}\) か。何だ、結局どれも約分できないから、1から18までの和を求めて19で割ればいいよね。だからだね。31も同じように考えるとになるね。

町子: さすが三太。どうやら素数(1とその数自身しか約数を持たない数)を入力したときの法則を見つけたようね。では、どんどん行くわよ。14と21を入れてみて。

三太: ふたつとも素数ではないけれど、それぞれ7の倍数だね。とりあえず素直に計算してみると、\(\frac{1}{14}+\frac{3}{14}+\frac{5}{14}+\cdots+\frac{13}{14}\) だから、だね。あれ? ①と同じ結果になったよ。21も計算してみよっと。あれ? 今度はか。

町子: では、次は42を入れてみて。

三太: 42=2×3×7だから、今回も何かつながりがありそうだ。約分できないものを全部足し合わせると……、ほほう、になったよ。

町子: よくできました。では、最後に2022を入力してみて。

三太: 最後はやっぱりそれかぁ。 \(\frac{1}{2022}+\frac{5}{2022}+\frac{7}{2022}+\cdots\) かな。でも、こんなことしていたら日が暮れちゃうよ。

町子: すぐにあきらめないで。2022=2×3×よね? この⑦は素数です。

三太: ということは、42と同じ法則が使えるのか。解決の糸口が見えてきたぞ。答えはだ!

町子: 正解です。よくできました。

 

(2022年度 普連土学園 大問6)

▼普連土学園の入試傾向と対策の記事はこちら

以前にもご紹介した「会話文形式」の中で“既約分数”を話題にして作られた問題です。

それでは見てみましょう。

計算だけでなく、規則を見つけながら解く

以前にもあったように、この問題でも計算技術さえ身についていれば、誰でも答えにたどり着けるでしょう。

しかし、そのまま計算するだけだと、だんだん厄介になってきます。また時間もかかり、最後の⑧などはもうギブアップとなってしまうことでしょう。
そこで今回も文章の流れに乗っかって、1つひとつ試行検証しながら解いていきましょう。

①は \(\displaystyle \frac{1+2+3+4+5+6}{7}=\underline{3}\)

②も \(\displaystyle \frac{1+2+3+\cdots\cdots+17+18}{19}=\frac{(1+18)\times18\div2}{19}=\underline{9}\)

③も \(\displaystyle \frac{1+2+3+\cdots\cdots+29+30}{31}=\frac{(1+30)\times30\div2}{31}=\underline{15}\)

分母が「素数」の時は分子の和は1から分母の一つ手前までの和になっていますね。

④と⑤は分母が素数ではない場合ですね。

④は \(\displaystyle \frac{1+3+5+9+11+13}{14}=\underline{3}\)

⑤は \(\displaystyle \frac{1+2+4+5+8+10+11+13+16+17+19+20}{21}=\underline{6}\)

7・14・21・42の関係に注目する

今のところ、とくに検証せずに進んできましたが、ここで少し止まってみましょう。

①で分母が7、④で分母が14、⑤で分母が21のときの答えを求めました。
次に求める⑥は「分母が42のとき」の答えです。
何か規則や法則はないものでしょうか?

 

14は2×7、21は3×7、42は2×3×7です。明らかに何かありそうですね。

とりあえず意識しながら、⑥の分母が42の場合をやってみましょう。

\(\displaystyle \frac{1+5+11+13+17+19+23+25+29+31+37+41}{42}=\underline{6}\)

 

……

……あれっ?

  • 「分母が7のときは3」
  • 「分母が14(=2×7)のときは3」
  • 「分母が21(=3×7)のときは6」
  • 「分母が42(=2×3×7)のときは6」

……と、なりましたね。

何か意味がありそうですね。

 

⑦で2022=2×3×337と素因数分解させていることも加えると……、ますますあやしいですね。

▼素因数分解については、次の記事でも解説しています。

別の素数でも同じ規則を確かめる

ここで問題文の例にもある分母が5のときでも検証してみましょう。

分母が5

\(\displaystyle \frac{1+2+3+4}{5}=2\)

 

分母が10(=2×5)

\(\displaystyle \frac{1+3+7+9}{10}=2\)

 

分母が15(=3×5)

\(\displaystyle \frac{1+2+4+7+8+11+13+14}{15}=4\)

 

分母が30(=2×3×5)

\(\displaystyle \frac{1+7+11+13+17+19+23+29}{30}=4\)

おぉ~っ!? ……ちょっと、分母と和をまとめてみましょう。

分母 素数5 2×5 3×5 2×3×5
2 2 4 4
分母 素数7 2×7 3×7 2×3×7
3 3 6 6

なるほど。
分母が素数pのときと分母が2×pのときの和は同じ、さらに3×pと2×3×pのときは和が2倍となっていますね。
これで⑧は次のようにできますね。

2022=2×3×337なので、素数337が分母の時の和を2倍すればよい。

よって、 \(\displaystyle \frac{1+2+3+\cdots\cdots+335+336}{337}\times2=\underline{336}\)

分母が素数のときは、分子は1からその素数の一つ手前までを足すだけでしたから、簡単ですね。

2027年入試ではどんな西暦問題が出る?

来年度受験を控えているみなさんは、その年の西暦年度となる“2027”にまつわる問題を目にすることでしょう。ちなみに2027は素数です。また2027の次の素数は2029となっており、この2つのペアは双子素数と呼ばれます(2つの素数の差がちょうど2である素数の組のこと)

どういった問題が出題されるのか今からワクワクしますね!私も予想しながら問題を作成してみたいと思っています。みなさんもぜひ考えてみてくださいね。

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