駒場東邦中学校の入試問題分析(2016-2018年)

2018年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 立体図形
大問3 約束記号
大問4 場合の数

合格者平均点は87.3点(72.8%)と、今年度も高得点勝負になりました。ただ、受験者平均点は79.9点(66.6%)であり、大きな差はついていません。各大問の最後の一問の難易度が高く、それ以外の問題で得点を積み重ねられたかどうかで合否が決まったのではないでしょうか。近年続けて出題されている作図問題や、思考力を要する問題の訓練を積むだけでなく、解くべき問題の取捨選択を正確に行うことが求められます。

国語

大問1 物語文(ねじめ正一『むーさんの自転車』)

例年通り、物語文1題の構成です。テーマは「家族」です。父が借金をして家が傾く中で、知り合いの「むーさん」を頼りにして自立していく主人公の姿が描かれています。記述問題は40字、60字、90字、120字というバリエーションで、いずれも変化を含む心情把握が中心で、主人公の精神的成長(自立心の芽生え)の理解を問うものでした。俳句の鑑賞も含まれた難しい問題が揃いました。様々な状況下での心情を想像し、説明する練習が不可欠です。

理科

大問1 小問集合
大問2 砂糖のとけ方・濃度計算など
大問3 海岸で見られる生物・潮間帯でのすみわけ
大問4 氷河地形・全球凍結と氷成堆積物
大問5 光の性質

合格者平均点は42.4点(53.0%)で、昨年度(63.5%)よりも難化しました。例年、データの読み取りや整理が必要な問題が出題される本校ですが、今年度はその分量も多く、解きづらい問題が多かったように感じます。得点すべきところで失点しないような基礎力の徹底と、説明文や実験データなどから考え抜く力を鍛える必要があります。丸暗記の知識ではなく、読解力・思考力・記述力を養うことを普段の学習から意識しましょう。

社会

大問1 総合問題

冒頭で短いリード文を読ませ、論述問題7問・選択式と用語記述19問の計26問の小問を解く例年通りの出題構成でした。地理・歴史・公民の3分野それぞれから出題されます。各設問ではさまざまな表やグラフ、史料や資料が提示されています。これらの読み取りについては、過去問題学習を通じて対策をしましょう。全体的に単に知識を問うのではなく、理解度や社会への問題意識を問うレベルの高い内容です。

 

2017年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 台形の回転移動
大問3 既約分数と数の性質
大問4 立方体の切断

合格者平均点が昨年度に比べ30点近く上昇し、大幅に易化しました。大問1の(4)では、算数にまつわる出来事について説明する問題が出題され、驚いた受験生も多かったのではないでしょうか。今年度もコンパスを使った作図問題が出題されました。合否のカギを握る、難度の高い問題を解くためには、日ごろからパターンに頼らず、論理立てて考える習慣付けを行う必要があります。記述式の解答用紙なので、考えた過程を伝えられる記述力も必要です。

国語

大問1 物語文(中脇初枝『世界の果てのこどもたち』)

例年通り、物語文1題の構成です。テーマは「戦争」です。近年は「父母子」「友人」などといった人間関係が書かれたものが取り扱われていましたが、今年度は大きく方向性が変わりました。「戦争」「生と死」はテーマとしては難しく、場面を想像する力が問われます。記述問題は50字、90字、140字というように種類が豊富です。様々な状況下の心情描写を説明する練習が不可欠です。

理科

大問1 小問集合
大問2 カタバミについて(就眠運動の実験)
大問3 月の満ち欠け
大問4 ゼラチンと寒天の物性
大問5 スライド抵抗器を用いた実験(データ分析)

合格者平均点は51.4点(61.3%)で、出題形式は選択問題、記述問題、グラフの作図とさまざまです。ここ数年、実験データから考察する問題が多い傾向にあります(特に物理分野で顕著)。得点すべきところで失点しないような基礎力の徹底と、説明文や実験データなどから考え抜く力を鍛える必要があります。丸暗記の知識ではなく、読解力・思考力・記述力を養うことを普段の学習から意識しましょう。

社会

大問1 食と現在の世界

今年度のテーマは「食」です。やや短めのリード文を読んだ後、地理・歴史・公民の三分野の小問が計26問あります(うち6問が論述問題)。問題は非常にバラエティに富んでおり、地形図や表・グラフ・資料の読み取り問題が中心です。選択式の問題も最難関校にしては比較的多く、正確な知識も求められています。合格点を取るためには、やはり過去問題を通じて本校独特の入試スタイルに慣れることが重要です。ていねいな取り組みが求められます。

 

2016年

算数

大問1 ⼩問集合
大問2 数の性質(約数)
大問3 図形の回転移動
大問4 平⾯図形

受験者平均点は58.3点(48.6%)、合格者平均点は72.6点(60.5%)でした。⼤問1には2016の約数に関する問題が、⼤問3にはコンパスを⽤いた作図の問題が出題されました。本校の算数を攻略するには、⽇ごろからパターンに頼らず、論理⽴てて考えることが⼤切です。特に整数問題は差がつきやすい単元です。記述式なので、どう考えたかを伝えられるような答案の作り⽅の訓練もおこないましょう。

国語

大問1 物語⽂(⽯井桃⼦『春のあらし』)

例年通り、物語⽂1題の構成です。テーマは「恋」です。姉を中⼼とする家族に関する問題は選択式で、主⼈公である「私」の恋⼼については記述式で答えさせようとしていたようです。選択問題は難なく解けたでしょう。しかし、記述問題は思いを寄せる男性に対する期待感や失望感(問6・8)、⼤⼈の⼥性としての成⻑(問11・13)など、難問がそろっていました。様々な状況下の⼼情描写を説明する練習が不可⽋です。

理科

大問1 ⼩問集合
大問2 ジャガイモ
大問3 ⽔溶液の性質
大問4 ⽇本付近の気象
大問5 凸レンズを使った実験

昨年度同様、⼤問5題構成です。⽣物分野からは例年ユニークな問題が出題されますが、今年度はジャガイモに関する問題でした。⼤問5は⽂章が⻑い上に、膨⼤なデータおよびグラフを参照して解く問題でした。解きにくい問題が散⾒されますが、基本的な問題をしっかり得点していけば合格ラインには⼗分到達可能です。まずは基本事項をしっかり⾝に付け、その上で説明⽂や実験データを⾒て、考える⼒を養っていく必要があります。

社会

大問1 総合

⼤問1題の中に地理・歴史・公⺠の全分野を盛り込んだ形式で、資料・表・グラフに加え、地形図の読み取りも出題されています。論述問題は6問出されており、難易度の⾼い問題が多く出題されていました。興味深い問題は公⺠の問題群です。国⺠主権をテーマに、受験⽣⼀⼈ひとりに主権者としての⾃覚と成⻑を促すための出題が⾒られました。⼊試問題も学習指導の⼀環であるような印象を受ける問題でした。

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