
速さのグラフ問題では、公式を当てはめるだけでなく、「2人がどう動いているのか」をつかむことが大切です。しかし、隔たりグラフのように距離の変化だけが示されると、実際の動きが見えにくくなりますよね。内田先生の「入試算数の深層」では、解法暗記では届かない中学受験算数の考え方を、思考の設計図としてていねいにたどります。今回は、隔たりグラフを進行グラフに直し、速さの問題を“動きの構造”から読み解きます。
みなさん、こんにちは。スタジオキャンパスの内田です。今回は今までとは打って変わって、中学受験算数でも頻出となっている「速さ」の問題を取り上げたいと思います。
渋谷教育学園渋谷「隔たりグラフ」の問題
渋男君と教子さんが丘のふもとの公園と頂上を往復する競争をしました。スタート地点とゴール地点は、公園で、上りも下りも同じ道を通りました。
渋男君の下りの速さは、上りの速さの1.25倍でした。教子さんは上りの速さも下りの速さも同じでした。教子さんが先にスタートし、7分30秒後に渋男君がスタートしました。渋男君は下りの途中で教子さんに追いつきました。そのまま渋男君が勝ちました。
下のグラフは、渋男君と教子さんの2人の間の距離と教子さんがスタートしてから渋男君が教子さんに追いつくまでの時間の関係を表したものです。次の問いに答えなさい。ただし、(3), (4)は答えを求めるのに必要な式、考え方なども順序よくかきなさい。

(1) 教子さんの速さは分速何mですか。
(2) 公園から頂上までの道のりは何mですか。
(3) 渋男君の上りの速さは分速何mですか。
(4) 略
"読み取る"から"利用する"へ──進化する「速さ×グラフ」問題
今回は「速さ」の問題の中でも“グラフ”を紹介します。“グラフ”といっても、以下のようにさまざまな種類の出題があります。
●出題の時点からグラフが与えられている問題
●グラフを作成させる問題
●グラフを描くとコンパクトに処理できる問題
●一見すると速さの問題には見えないが、速さの考え方を発想する段階でグラフを利用する問題
●点や図形の動きを図形的に解かずに、グラフ上にその動きを描き出すと解きやすい問題
ほか。
とくに最近は「変化」をテーマとする問題が増加することにともない、“読み取る”だけではなく、自分で変化を理解するための道具として利用する場面が本当に多くなっていることを実感しています。
難関校にのみ見られた「隔たりグラフ」が今や定番に
さて、そんな速さの“グラフ”の中でもかつては難関校にのみ見られていた「隔たりグラフ」の問題を取り上げてみたいと思います。今ではさまざまな学校での出題が見られます(その他普通の「進行グラフ」や自分でグラフを描かせる、グラフを利用すると解きやすいといった問題を加えると大変な数の出題となります)。
2人の間の距離だけを表す「隔たりグラフ」
「隔たりグラフ」とは、いったいどのようなグラフなのでしょうか?
“隔たり”とは2人(2点)の間の距離のこと
“隔たり”とは2人(2点)の間の距離のことです。通常の進行グラフであれば、2人(2点)いれば2種類のグラフが存在します(たとえば向かい合って出会う様子や同じ方向に向かって追いつく様子等)。しかしこの「隔たりグラフ」であれば、2人(2点)の間の距離だけを1種類のグラフで表すことになります。
「線分図」や通常の「進行グラフ」に直して動きを把握する
複雑な動きになると、この1種類のグラフだけで頭の中で想像するのは大変です。そこで今回の問題を例にとって、この「隔たりグラフ」の解き方を解説します。一般的には「線分図」や通常の「進行グラフ」に直すことによって、その動きを把握することになります。ここでは「進行グラフ」を利用してみましょう。
「進行グラフ」に書き直して動きを読み取る

(1) 「進行グラフ」に書き直すと、教子さんは337.5mに7.5分かかっていることがすぐにわかりますね。
337.5m÷7.5分=45(m/分)
(2) これも40分で頂上に到達していることがすぐわかりますね。
45m/分×40分=1800(m)
(3) グラフの“太線”部分に注目して、アとイにかかった時間を求めます。

複雑な変化は「見える形」に直して読み取る
「隔たりグラフ」のままでは読み取りにくかった問題も、通常の「進行グラフ」に直すことによって、複雑ではない動きであることが判明しましたね。頭の中だけで2人(2点)の動きを想像することは至難のワザです。自分で手を動かし「見える形」に直すことでしっかり動き(変化)を読み取りましょう。
このような速さ(変化)に対しては、今回のような“解くための方法(読み取るための技術)”を習得することが大切です。そのためには、結果としてただ解けたということではなく、学んだ中の“別の”方法も利用してみるといった行動をぜひしてほしいと思います。
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