中学受験算数の文章問題で「表」を活用する【文章問題への取り組み②】

前回の記事でも“やみくも”に問題演習量だけを増やし、“出たとこ勝負”になってしまっているお子様が多いように感じていることを記しました。いきなり式を立てはじめ、その式の羅列が何を求めるためのものかが理解されておらず、どこに向かっているのかが不明確になってしまっているのですね。まずは一旦じっくりと「整理」することを心がけてほしいと思っています。

文章題の整理方法その2――「表」にする

その「整理」方法の第2回として、今回は「表」を取り上げてみたいと思います。前回に引き続き、ここでもテーマはあくまでも「整理」して、問題の判断や未知のものへ向かっていく(できるだけ最短で)こととします。判断しにくい問題における「整理」の仕方が大切なので、処理をするための技を身につけてもらうわけではありません。

まずは以下のような文章題を「表」に整理してみましょう。

例題1
クラスの人で、犬をかっている人が20人、ねこをかっている人が15人、両方ともかっている人が5人います。クラスの人数は45人です。どちらもかっていない人は何人ですか。

いかがでしょう。

頭の中で“え~と、まずは犬かねこをかっている人が……”というように考えこんだり式を立てたりすることよりも、まずは「表」の形に整理することでコンパクトに手早く求めることができますね(他にも「ベン図」を利用した整理方法もありますので、試してみてください)。

「和差算」「相当算」で線分図を活用する

また順位を決める問題等でも「表」に整理することで、コンパクトにまとめられます。

例題2
Aくん、Bくん、Cくんが100m競走をしました。そのことについて3人が話をしています。
Aくん:「ぼくよりもはやい人がいたよ。」
Bくん:「Cくんは3位ではなかったね。」
Cくん:「でもBくんには負けたよ。」
3人はそれぞれ何位でしたか。

会話から判明する箇所に「×」印を記入していき、最終的には順位が明確になります。以下のような問題でも「表」に整理することで、しっかり分類することができます。

例題3

「差集め算」「つるかめ算」で線分図を活用する

さらに以下のような「差集め算」「つるかめ算」といったような特殊算においても「表」で整理することができます。

例題4
1個50円のあめを何個か買うつもりでお金を用意しましたが、1個40円のあめを同じ数買ったので、100円残りました。このとき、あめを何個買いましたか。

1個ずつの差である10円が集まって、全体で100円の差になっていることがよくわかりますね。

例題5
1個50円のりんごと、1個30円のみかんをあわせて20個買い、代金は760円でした。みかんを何個買ったのでしょうか。

はじめにりんごが20個全部あることにすると代金の合計は1000円、そこからりんごを1個減らし、みかんを1個増やすことで20円ずつ代金の合計が減りますね。この「つるかめ算」では以下のような場合でも「表」を活用することができます。

例題6
お皿を運ぶ仕事があります。1枚運ぶと30円もらえ、もし途中で1枚わってしまうと、賃金がもらえないばかりでなく、40円のべんしょうをしなければなりません。200枚のお皿を運びましたが、何枚かわってしまったので賃金は2500円でした。何枚のお皿をわってしまいましたか。

200枚全部運べたとすると賃金の合計は6000円。1枚わってしまうごとに30円もらえないばかりか、40円もべんしょうしなければならないので70円ずつ賃金の合計が減りますね(つるかめ算の中でも「弁償算」とよばれるものです)。

例題7
1冊の値段が、それぞれ80円、60円、50円の3種類のノートを合計28冊買って、1820円支払いました。1冊60円のノートは、1冊50円のノートの2倍だけ買いました。80円、60円、50円のノートをそれぞれ何冊ずつ買ったことになりますか。

60円のノートの冊数が50円のノートの冊数の2倍になるように調整すると、その分80円のノートは3冊減りますね。このような3種類の場合でも同じような「表」を利用して、同じような処理ができますね。

「和差算」「相当算」で線分図を活用する

最後にご紹介するのは「商売」の問題です。

例題8
ある商品を1個につき100円で50個仕入れ、120円の定価をつけました。そのうちの30個が売れたところで残りの商品を値引きして売ることにしました。売りつくしたときの総利益を900円にするには、残りの商品を何円で売ればよいですか。

「表」にすることで、何を求めれば答えに近づいていけるのかが明確になりますね。

抽象的なことを瞬間的に式化することは小学生にとってはなかなか難しいものです。その間を取り持つ意味でも、整理するための「表」は便利な道具ですね(中には「表」を埋めている途中で解答にたどり着いてしまうケースも多々あります)。

他にもさまざまな場面で活躍する「表による整理」

今回ご紹介した他にも“やりとりの流れ”や“時間の経過”を整理する「表」、場合の数における“調べ”の「表」、規則性における“数値化”した「表」等、様々な場面で利用することができます。

前回の「線分図」ともども問題を整理し、理解を深めるために是非利用してください。

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