
| 中学受験指導スタジオキャンパス社会科科目責任者の大森尚王先生が、近年の中学入試社会の傾向をお伝えする「不易と流行」。現在開催中のワールドカップ。各国が熱い戦いを繰り広げていますね。日本の初戦の対戦相手でもあったオランダは、中学受験社会を学ぶうえで重要なキーワードです。今回は「旅から多彩な文化に触れること、サッカーから世界を知ること」をテーマに、中学受験社会の視点からわかりやすく解説します。 |
こんにちは。6月1回目の更新です。少し遅くなりましたが、このコラムの掲載は6月20日ごろでしょうか。
ワールドカップ初戦から考える日本とオランダの関係
コラム執筆は6月15日(月)。さて、この日には何があったか……。朝から熱狂した人も多かったのではないでしょうか。私もその一人ですが、いよいよサッカー日本代表のワールドカップが始まりました。15日に対戦したオランダはサッカーの強豪国の一つですが、ご存じのように日本とは歴史上深いかかわりのある国です。

そして、ちょうど天皇・皇后両陛下がオランダ・ベルギーを公式訪問中で、オランダでは国王夫妻とテレビでサッカー観戦をされたようです。
江戸時代、オランダは世界を照らす窓だった
鎖国が行われた江戸時代において、オランダは日本にとって世界を照らす窓でした。日本はオランダを通して世界を見て学び、近代化の礎を築いたのです。中学入試でも欠かせない内容です。

現地観戦は、文化に触れる旅でもある
日本代表の試合をテレビで観戦していると、かなり多くの日本人のすがたをスタジアムで目にしました。4年に一度のワールドカップですから、現地観戦する人も多いのでしょう。今回は3カ国の共同開催で、カナダ・アメリカ・メキシコが試合会場になっています。現地に足を運ぶ人たちは、試合観戦だけではなくさまざまな景色と文化に触れる貴重な機会にもなるのではないでしょうか。
観光地で課題となるオーバーツーリズム
海外旅行と言えば、現在は円安状況が続いており、日本を訪れる外国人旅行客、いわゆる「インバウンド」には陰りが見えません。中国は、政府が日本への渡航自粛を呼びかけた影響で、訪日客が前年比でほぼ半減している状況ではありますが、都内を移動すると、まだまだ海外からの旅行者をたくさん目にします。
そこで問題になっているのが、「オーバーツーリズム」の問題です。

オーバーツーリズムとは
オーバーツーリズムは観光客が多数押し寄せることで、そこで暮らす地域住民の生活に支障をきたす事態が起きることです。たとえば京都市内では路線バスがインバウンドで満員になってしまい、京都市民が乗ることができないような状況になっているようです。都内でも地下鉄など公共交通機関で、大きなスーツケースとともに多数のインバウンドが乗車してくることがありますね。世界文化遺産に登録されている白川郷では混雑回避のためにイベントや駐車場を予約制にし、合掌造り集落の見学も時間制限を設けるなど、人の流入を制限したり、先ほどの京都市内の路線バスでも、主要観光地を効率的に結ぶ「観光特急バス」を走らせたり、同じく世界文化遺産の姫路城ではインバウンドの料金を日本人よりも高く設定するなど各地で対策を講じていますが、どうしても人気のある観光地には人が集中するので、根本的な解決にはつながっていないようです。難しい問題です。
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国内旅行でも出会える多彩な地域文化
私は今回もサッカーのワールドカップをテレビで観戦しますが、多様な文化を持つのは海外だけではありません。日本も各地にさまざまな文化があり、初めて知る習慣や食文化などもあって国内旅行も充分に楽しいですよね。私は、今年のゴールデンウィークに佐賀県を旅行しました。佐賀県の北部、唐津市です。
唐津で学ぶ歴史と祭りの文化
唐津市と言えば「名護屋城址」「呼子のイカ」「呼子の朝市」「虹の松原」そして「唐津焼」が有名ですね。また、ユネスコの無形文化遺産の一つである「山・鉾・屋台行事」に登録されている「唐津くんちの曳山」もよく知られています。ちなみに「くんち」とは九州北部の一部地域で秋祭りを指すことばで、唐津くんちは九州三大くんちの一つと言われています。実はお祭りも近年の中学入試では出題されることがあります。お祭りも各地で多様な違いがあり、地域ごとの文化を知るうえではとても興味深いものです。
名護屋城跡から見る歴史
唐津市の名所の一つとして知られる「名護屋城址」は、朝鮮出兵に際して、豊臣秀吉が出兵の拠点として築かせた城の跡で、当時は全国から大名が集まり、城下町が形成され、政治の中心地となりました。城の広さとしては当時最大だった大阪城に次ぐ規模があり、人口が20万人を超える大都市を形成しています。近年の中学入試ではしばしば出題されるので、覚えておくと良いでしょう。ちなみに、名護屋城は東京書籍から出されている小学生用の社会教科書(新編新しい社会6/歴史編)で紹介されています。

郷土料理も中学入試につながる学び
日本の多彩な食文化も中学入試の社会科ではよく出題される内容です。小学校の給食でも出される「郷土料理」がその対象になっています。「きりたんぽ」「ほうとう」「筑前煮」などなど。旅先で食べる地元の料理は、旅行の楽しみの一つですね。

サッカーをきっかけに世界へ目を向ける
サッカー日本代表のワールドカップ第2戦は6月21日(日)です。対戦相手はアフリカのチュニジア。今大会から参加国が48カ国になりました(これまでは32カ国)。参加国の中から日本以外にも応援する国を見つけて、世界の国々に目を向けるきっかけにしても良いかもしれません。



