開成中学校の入試問題分析(2019-2021年)

2021年

算数

大問1 小問集合
大問2 立体図形
大問3 推論(場合の数・N進法)

受験者平均点45. 8点(53. 9%)、合格者平均点55. 8点(65. 6%)と、昨年度が大変難度が高かったため見た目には易化したように見えますが、本校においては標準~やや難といったレベルです。大問数はときどき見られる3題構成でした。思考力問題(今年度は大問3)においては、ただ解いて終わりとせず与えられたもの(それ以上)の意味を味わい、解釈するといった学習姿勢が求められます。

国語

大問1 物語文(最上一平『糸』)
大問2 論説文(山田玲司『非属の才能』)

今年度の開成国語。解答用紙を見てびっくりした受験生が多かったことでしょう。これまでの「字数制限なし」の記述欄とは打って変わり、出題された記述問題すべてに「字数制限」がつけられていたのです。とはいえ、文章2題形式は近年同様。受験者平均点49. 1点に対して合格者平均点は58. 0点と例年と比較するとやや平易な問題といえますが、これは大問1の物語文が取り組みやすい点が大きいでしょう。一方、大問2は文章を俯瞰して解かねばならない手強い問題揃いでした。

理科

大問1 水溶液の性質・メスシリンダー
大問2 太陽と月と地球・河川の水位
大問3 生物の擬態について
大問4 重心とつり合い

合格者平均54. 1点(77. 3%)、受験者平均49. 7点(71. 0%)は昨年度並みです。大学入試改革の影響からか、平易だった本校の理科の問題はここ2年ほど難化傾向にあります。大問3は最近の研究で確認された「第三者が得をする擬態」からの出題で、図表を読み取り、解答していく形式となっています。確固たる基礎力と思考力を身に付ける こと、難問や初見の問題をじっくりと考えることの2点を意識して学習しましょう。

社会

大問1 東海道
大問2 日本の大都市
大問3 政治制度
大問4 日本の自然環境

例年と比べて小問数が10問以上も減少しましたが、合格者の平均得点率は下がりました(77. 6%⇒71. 3%)。今年度も短文論述と初見データの読み取りが出題され、公民分野の出題も分量が増えた昨年度並です。全体的に工夫が凝 らされた難度の高い問題構成と言えます。昨年度も出題された短文論述は今年度も2問あり、政党に関する論述は本質を理解していないと答えられないレベルです。膨大な知識量に加え、社会的な問題意識も求められています。

 

2020年

算数

大問1 推理算・速さ・場合の数
大問2 演習上の点の移動
大問3 場合の数
大問4 立体図形

受験者平均点は38. 6点(45. 4%)、合格者平均点は49. 5点(58. 2%)と、ともに昨年より10点以上下降しています。問題で与えられた前提条件やルールによる制約の中で考える問題が多く出題され、算数という科目を本質的に理解しているかを問われる構成となっています。難問ぞろいではありますが、粘り強く取り組む姿勢と、その時間を確保するために標準的な問題を確実かつスピーディに解く能力が求められます。

国語

大問1 物語文(朝比奈あすか『君たちは今が世界』)
大問2 説明文(瀬川千秋『中国 虫の奇聞録』)

受験者平均点は42. 3点に対し、合格者平均点は51. 5点と昨年度とほぼ同じレベルでした。大問1の物語文(朝比奈あすか『君たちは今が世界』)は、今春の海城やサレジオ学院でも出題された注目作品です。変化の記述や心情記 述などオーソドックスな出題となり、取り組みやすかったのではないでしょうか。説明文の問3は「笑い話」になる理由を説明するという面白い問題でした。

理科

大問1 地球の自転と公転による天文現象など
大問2 手回し発電機とコンデンサー
大問3 食塩の溶解と溶液の体積変化
大問4 植物の葉の形・葉の成長について

合格者平均56. 0点(80. 0%)で、受験者平均48. 1点(68. 7%)と、今年度は他教科と同様に差がつくテストとなりました。昨年度までに比べると、考察問題のウエイトが増したことが影響していると考えられます。大学入試改革の影響からか、平易だった本校の理科の問題が難化していくようにも感じますので要注意です。確固たる基礎力と思考力を身に付けること、難問や初見の問題をじっくりと考えることの2点を意識して学習しましょう。

社会

大問1 三権分立
大問2 日本の歴史と戦争
大問3 水資源

今年度の合格者の平均得点率は77. 6%で、この5年間ではもっとも高い数値です。5年続いた東京都に関する出題がなく、本校では珍しく公民分野からの出題にボリュームがありました。また、昨年度は出題されなかった論述問題 が2問出題され、さらに地図上に解答を書き込む形式が2問出題されています。こうした出題形式が継続するかは分かりませんが、近年の流れである初見データの出題が本校でも増えており、知識偏重型からの移行も念頭に置いて対策をおこなうことが必要でしょう。

 

2019年

算数

大問1 速さ
大問2 立体図形
大問3 場合の数(道順)
大問4 論証と推理・場合の数

受験者平均点は51. 0点(60. 0%)、合格者平均点は61. 6点(72. 5%)と、ともに昨年より10点以上下降していますが、これは昨年度極端に易化した反動であり、今年度の問題が本校の標準的な難易度と考えてよいでしょう。切断と投影図の複合問題の大問2や、論理的思考力を問う大問4など、一筋縄ではいかない問題が並びました。標準的な問題を確実かつスピーディに解く能力と、難問に粘り強く取り組む姿勢が求められます。

国語

大問1 物語文 (荻原浩『空は今日もスカイ』)
大問2 論説文(松村圭一郎『うしろめたさの人類学』)

昨年度は大学入試改革を意識したような「グラフ」についての自由記述問題が出題されましたが、今年度は大問1・物語文、大問2・論説文とオーソドックスな構成でした。記述中心の問題は難度が高く、合格者平均点は50. 1点、受験者平均点は43. 6点(85点満点)でした。大問1では、問2と問4で差がついたでしょう。後者は比喩表現を用いずに解答するのに苦労した受験生が多かったのではないでしょうか。大問2もしっかりとした構成の記述が求められています。

理科

大問1 透明な氷をつくる方法を考える
大問2 ペーパークロマトグラフィの実験
大問3 アリの知識・行動に関する実験
大問4 金属のあたたまり方の実験

合格者平均点は65. 2点(93. 1%)で、例年通りの高得点勝負(今年度は顕著)となりました。地学分野からは出題されず、化学分野から2題(大問1・2)出題されています。各大問とも実験結果をもとに考察していく形式ですが、全体として本校合格を目指して対策してきた受験生には平易な問題が多くなっています。失点を最小限に抑えるために、確固たる基礎力と思考力を身に付けること、難問や初見の問題をじっくりと考えることの2点を意識して学習しましょう。

社会

大問1 上野公園周辺の歴史
大問2 日本の島々
大問3 日本の司法制度

今年度も例年並みの難度で、合格者の平均得点率は69.0%でした。従来から選択式と短答式がほとんどで論述問題が少ない本校ですが、今年度は論述問題の出題はありませんでした。試験時間が40分とはいえ、小問数は70問を越え、設問文の分量も多く、知識量とともに処理能力も問われます。例年通り東京の歴史に関わる出題がある一方で、中学入試全体の傾向である初見データの読み取りの問題も複数出題されています。

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