女子学院中学校の入試問題分析(2019-2021年)

2021年

算数

大問1 小問集合
大問2 整数問題
大問3 仕事算(ニュートン算)
大問4 立体図形
大問5 場合の数
大問6 速さ

例年通り短時間で大量の計算量を課す問題形式になっています。各小問が独立した構成になっている関係上、落とせる問題はありませんでした。難問と呼ばれるレベルの問題は少なく、標準的なレベルの問題をいかに早く正確に解くことができるか、特に一般的な特殊算、図形問題、グラフの読み取りは頻出となります。全体的にはオーソドックスな問題が並ぶため、どこに時間を費やすべきかを判断し、問題の取捨選択を確実に遂行することが重要です。

国語

大問1 随筆文(梯久美子『好きになった人』)
大問2 論説文(高橋敬一『昆虫にとってコンビニとは何か?』)

女子学院は今年度も読解2題・漢字の書き取り、という構成でした。大問1の随筆文は文章量が短く、登場する語彙レベルも高くないため、すいすいと読み進められます。しかし、油断は禁物。心情理解や比喩の理解など、ことば の裏側に潜んでいる筆者の意図まで理解する能力が試されています。大問2の論説文は指示語や接続語などをしっかりと押さえながら丁寧に文章を理解する姿勢が必要です。全体として難度はさほど高くはありませんでした。

理科

大問1 電磁石とモーター
大問2 国際宇宙ステーション(I SS)と気象衛星ひまわり
大問3 バッタについて(相変異)
大問4 中和反応と気体の発生量の融合問題

40分で多くの問題(今年度は小問49問)に解答する形式は例年通りです。近年は思考力を要する問題が増えていますが、ここ2年は解き易い印象があります。大問2のISSについての問題と、大問3のサバクトビバッタの相変異に関する問題ではやや差がついたでしょう。本校の理科は高い処理能力が求められます。効率よく解き進めるために、深い理解と広い知識を身につける必要があります。日頃から本質を追求した質の高い学習をしましょう。

社会

大問1 原始~近代の社会史・文化史
大問2 昭和時代(戦前・戦後)の社会史・地理総合
大問3 日本の農業
大問4 現代の日本(食料政策・消費税など)

大問数4題で、小問数は昨年度同様40問、論述問題は5問から3問へとさらに減少しました。見かけ上の取り組み易さとは裏腹に、社会的な知識以外の運用力が求められる問題もあり、過去問対策を十分に行っていた受験生でも戸惑ったかも知れません。対策は、早い時期に各分野の基礎力を完成させ、その後、地図帳や歴史資料集で細かい知識を増やすことです。また、世の中の動きに敏感になり、疑問点は積極的に質問して理解を深めていきましょう。

 

2020年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 平面図形
大問3 用語の定義
大問4 点の移動
大問5 推理算
大問6 流水算

昨年度に引き続き、今年度も大問6題構成となりました。試験時間に比して処理量が多いのは例年と変わりませんが、大問3で逆数や円周率の定義を穴埋めで解答させる問題が出題され、経験したことが無いであろう形式に受験生は面食らったことと思います。とはいえ、全体的にはオーソドックスな問題が並ぶため、どこに時間を費やすべきかを判断し、問題の取捨選択を確実に遂行することが重要です。

国語

大問1 随筆文(阿純章『「迷子」のすすめ』)
大問2 論説文(鷲田清一『濃霧の中の方向感覚』)

それまでB4サイズ片面印刷だった女子学院の国語入試問題は、昨年度突如A4の冊子形式に変わりました。今年度も昨年同様、冊子形式でした。大問1は論理的随筆文。比較的理解しやすい文章だと感じられたのではないでしょうか。内容的に難解だったのは大問2の論説文でしょう。問10の記述問題は女子学院が好む「比喩表現の具体化」であり、ここは差がついたものと思われます。

理科

大問1 アミラーゼのはたらきを調べる実験
大問2 緯度の違いと太陽の動き・日食
大問3 海水を用いた実験・固体の推定実験
大問4 ばね

40分で多くの問題(今年度は小問53問)に解答する形式は例年通りです。近年は思考力重視の問題が増加し、難化傾向でしたが、今年度は落ち着きました。大問1と2を手際よく解答し、大問3、4にじっくりと時間がかけられた受験生は高得点が狙えたはずです。本校の理科は高い処理能力が求められます。効率よく解き進めるために、深い理解と広い知識を身につける必要があります。日頃から本質を追求した質の高い学習をしましょう。

社会

大問1 古代~近世の社会史・北海道の地理
大問2 近代の社会史・地理総合
大問3 現代の日本・時事問題

大問数が昨年度の4題から3題、小問数は48問から40問、論述問題は10問から5問へとそれぞれ大幅に減少しました。特に難しい問題も見当たらず、今年度は解きやすく感じた受験生が多かったものと思われます。その分、高得点勝負になった可能性があり、知識の正確性がポイントでした。今後もこの傾向が続くかは分かりませんので、基礎知識の定着を早期に進め、様々な学校の過去問題に触れて応用力を養うことが必要です。

 

2019年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 図形の移動
大問3 展開図
大問4 時計算
大問5 割合
大問6 条件整理と推理

昨年度は4年ぶりに大問7題構成でしたが、今年度は大問6題構成に戻りました。試験時間に比して処理量が多いのは例年と変わりませんが、数字の書かれたマスを使って立方体の展開図を考える大問3や、数多くの条件をもとに人数を求める大問6など、一見するとどのように解けばよいか方針が立てにくい問題が多く、全体的には難化したと言えそうです。どこに時間を費やすべきかを判断し、問題の取捨選択を確実に遂行することが重要です。

国語

大問1 説明文(ペーター・ヴォールレーベン『樹木たちの知られざる生活』)
大問2 随筆文(夏川草介『五月の贈り物』)
大問3 漢字の書き取り

今年度の本校の国語問題用紙は今までのB4サイズに印刷されたものから、A4サイズの冊子形式になりました。体裁の変更に戸惑った受験生がいるかもしれません。ただし、文章のセレクトも、設問も従来の本校の傾向を踏襲しています。強いてあげれば、条件記述問題の分量が多くなっています。次年度以降、本校の合格を狙う受験生は、「設問の条件に即したしっかりとした構成で」書くという練習を積んでいきましょう。

理科

大問1 ペットボトルをテーマにした物質の総合問題
大問2 大気の状態が不安定になる条件(断熱変化)
大問3 メダカの知識・メナダのうろこについての考察
大問4 てこ・さおはかり

40分で多くの問題(今年度は小問54問)に解答する形式は例年通りです。近年は思考力重視の問題が増加し、難化傾向でしたが、今年度は落ち着きました。大問3のメダカの細かい知識、メナダのうろこに関するデータの読み取り問題で差がついたと思われます。本校の理科は高い処理能力が求められます。効率よく解き進めるために、深い理解と広い知識を身につける必要があります。日頃から本質を追求した質の高い学習をしましょう。

社会

大問1 社会史
大問2 鉱物資源の歴史
大問3 東京都について
大問4 環境問題

小問数は48問と昨年度並みでしたが、論述問題が10問と大幅に増えました。答えさせる内容については、大問1の問9の3R(リユース・リデュース・リサイクル)に関わること、大問3の問6にように都心に人口が集中する理由を答えさせるものなど一見簡単なように見えますが、与えられた情報からそのことに気付くためには相当な知識量と理解力を要します。基礎知識の定着を早期に進め、様々な学校の過去問に触れて応用力を養うことが必要です。

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