塾の小窓をのぞいたら――矢野の雑記[2024年01月01日ー01月03日]

2024年1月1日(祝月)

坂のある町が好きだ。

結婚して、わが子が生まれてからは毎年元旦には板橋区志村の実家に帰るのだが、この町を訪れるたびに自身の原風景に「坂」が入っていることを確信する。

ちなみにわたしの実家は坂を下り切ってから、41段の階段を上ってようやく門に辿りつく。家の裏側はかなり高い崖があり、階段を使うか、家の2階から直結する「橋」を使うと崖上に出られる。そこは小さな畑になっている。

わたしが誕生後、住んできた町を時系列別に書き出すと、板橋区志村→京都府八幡市→大阪府枚方市→板橋区志村→練馬区貫井→足立区東和→世田谷区三宿→世田谷区上野毛→世田谷区奥沢5丁目→世田谷区奥沢8丁目→世田谷区等々力、となる。この中に「仲間外れ」の地域が1つある。

27歳~28歳にかけて住んだ足立区東和である。最寄りの駅はJR亀有駅。

なぜ仲間外れなのか。そう、ここだけ「坂」のない町なのである。商店街は賑やかで、物価は安いし、店の人たちはお喋り好きで親切な方が多く、とても良い町。でも、わたしにとっては何だか居心地の悪さを感じた。どこまで行っても平坦な道がそうさせたのかもしれない。言い換えれば、この町に出会ったからこそ、自身の原風景に「坂」のあることを知れたのである。

さて、今年の元旦は久しぶりの日帰り。息子が中学受験直前を迎えていて、泊まることが叶わないというのがその理由。彼の中学受験が終わったら、一緒に実家を再訪することを約束して、夕刻にはひとり誰もいない「スタジオキャンパス自由が丘校」に寄る。年賀状チェックをして、そして、忘れないうちに、2024年の個人目標を手帳に書き付ける。今回は5つの目標を立てる。元旦に個人目標を記してもう何年になるだろう。なお、2023年の個人目標は4つのうち1つしかクリアできず……。

そうこうしているうちに、能登半島の大地震を知る。東京でも揺れを観測したらしいが、その時間は電車内にいたため、わたしは全く気づかなかった。全国各地が揺れるほどの規模の大きさ。現地の人たちが心配である。元旦ゆえ、北陸には海外からの観光客も多いことだろう。被害の全容は現時点では見えてこないが、皆さんご無事であることを……。

(画像は上述した実家後方の崖)

2024年1月2日(火)

朝7時。2024年度第1弾となるわたしの執筆したオンライン記事が公開される。講談社FRaUのわたしの新連載「中学受験で使える1冊」の「いよいよ本番目前の中学受験、国語の入試問題が大激変! おすすめ問題集をプロ講師が指南」というタイトルの記事。

今後、この講談社FRaUにて月1回程度のペースで、中学受験生、あるいはその保護者にとって役立ちそうな本をどんどん紹介していきたい。「良書」が広まることを願って。

さて、わたしはこういうメディア記事をこれまでに約350本執筆、配信してきた。
現時点では、この講談社FRaU以外にも朝日新聞EduA、プレジデントOnlineなどの媒体でよく執筆をしている。そういえば、先月(12月)は東洋経済Onlineから初めて依頼がきて、記事を1本執筆、公開をした。こういうオンラインメディアの記事はお鳥目を頂戴できるだけでなく、Yahoo!ニュースなどのキュレーションサイトに転載されることで、自身の記事を少なくとも数万人、上手く拡散すれば数十万人に届けられる点で大変魅力的だ。その分、ヤフコメで叩かれることだってよくあるのだけど……。あとは、いつでも「使える」メディアを確保していると、書籍企画が通しやすく、なおかつ、自著を「宣伝」できるというメリットがある。中には「矢野さんの記事なら、いつでも掲載しますよ」とおっしゃってくれる媒体もある。有難い限り。いずれにせよ、2024年は引き続きこれらのオンラインメディアの記事をたくさん書いていこうと思う。

わたしは1月1日~3日まで3連休。
能登半島地震の被害の大きさが徐々に明らかになる。それにしても、AIによる「偽被災画像」を作成してSNSで拡散したり、「X」で収益を得るためのインプレッション稼ぎのために「偽被災者メッセージ」をpostしたりする連中が続出したのは嘆かわしい。あの「Twitter」がもはや名称だけでなく、「Twitter」ではないことを身に染みて感じさせられた。いろいろ残念である。

夕方まで家にいたが、昨日に続き誰もいない自由が丘校へ(なお、三田校では6年生対象の特別講座がおこなわれている。わたしは「年末組」で12月30日・31日に授業だった)。4Fの書斎に籠る。2月1日発売予定の自著『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書/祥伝社)の再校の直し。これに取り掛かろうとしたら、羽田空港でJAL機が海保の飛行機と接触して燃え上がっているというニュースが入ってきて、息を呑む。続報を待っていたら、乗客乗員全員が脱出したとのことで、ホッとする。しかし、海保の飛行機の乗員5名が殉死されたという。聞けば、この飛行機は能登半島へ支援物資を届けるところだったらしい。

いずれにせよ、何という新年の幕開けだろうか……。

2024年1月3日(水)

昨晩に引き続き、2月1日発売の近刊『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』(祥伝社新書/祥伝社)の再校にせっせと赤字を書き入れていく。わたしの場合、たいていは求められているページ数を大幅に超過した「初校」となり、そこからせっせと削る作業をおこなう。今回も300ページ近くあった初校を刈り込み、256ページに収めた。再校では1行削る(文言を修正して1行分減らす)ごとに新たに1行分の加筆をおこなっていく。パズルのようで個人的には楽しい。そんな話を以前誰かにしたら信じられないという顔をされた。多分、子どもたちの記述答案を添削してきた経験が大きいのかもしれない。わたしからすれば、校正作業よりその前段階の「執筆する」ことに苦しんでばかり。

今回の『ぼくのかんがえた「さいきょう」の中学受験』というタイトルは、Xのpostを閲覧していた際、「お、これ、面白いかも」と思いついた。このタイトルで書籍企画書の作成を終え、どの出版社に持ち込もうか考えていたところ、タイミングよく祥伝社より新書企画の話が入ってきた次第。編集担当の木村さんは当初「いやあ、このタイトル、新書っぽくはないですね……」と難色を示していたが、社内でアンケートなどを取ってくれ、無事にわたしの希望が叶う。感謝。

「ぼくのかんがえた~」の「ぼく」とは当然わたしのこと。つまり、中学受験に対する自分の思いを率直に吐露するというもの。そういう意味では多少傲慢な内容かもしれない。ただ、中学受験情報が氾濫し、かつ、中学受験生の保護者が「一家言」を持ちやすい環境下の中、自身の講師経験をベースに「理想の中学受験像」を掲げるのは意義あることではないかと自負している。刊行が近づいたら、この新書の話は改めてしたい。

今回で自身14冊目の刊行だが、それにしても、そのうち9冊が新書である。これって珍しいよなと思う。塾講師、予備校講師の中でひょっとしたら一番多くの新書を出しているのかもしれない。どうなのだろう? なお、今年はこの本以外ですでに3冊の企画が動き出している。そのうち1冊はやはり新書。いかにも「新書らしいテーマ」を扱う予定。久しぶりのルポルタージュである。

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