桜蔭中学校の入試問題分析(2016-2018年)

2018年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 平面図形
大問3 割合
大問4 立体図形

大問3の割合の問題は、同じノートを購入形態や割引率に違いがある3つの店で買う方法を考える問題でした。与えられた情報をどのように処理すべきか、解答の方針を立てる段階で戸惑った受験生も多かったのではないでしょうか。今年度は記述式の解答形式の設問が大問2と大問4の2題のみでしたが、普段から途中式を残して解法を丁寧にまとめることを意識して学習に臨みましょう。

国語

大問1 物語文(大久保雨咲『五月の庭で』)
大問2 論説文(押井守『ひとまず、信じない 情報氾濫時代の生き方』)

淡々とした筆致の文章を好む桜蔭ですが、今年度は一変しました。大問1の物語文は童話であり、ひらがなの占有量の多さに驚いた人が多かったはずです。そして、大問2は近年のメディアリテラシーに言及したもので、ツイッターやフェイクニュースといった用語が登場する具体性を持った文章です。一方、設問は難解なものばかりで、例年通り長い記述が求められています。なお、今年度は「200字記述」は出題されませんでした。

理科

大問1 密度と金属・光の性質(反射)
大問2 物質の状態変化・気体の性質
大問3 地層と堆積物など(粒径と流速・地形)
大問4 植物のはたらきを調べる実験・顕微鏡の操作

化学・物理分野で難解な計算問題が出題されず、生物分野の実験考察問題も標準レベルだったことから、解きやすさを感じた受験生が多かったと思われます。大問3の粒径と流速に関するグラフは2008年度入試でも出題されました。本校には実験結果から考察していく問題が多く出題されます。日ごろから、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を見抜く力をつける学習、時事的な話題に目を向けることを意識しましょう。

社会

大問1 社会における情報伝達
大問2 感染症の歴史
大問3 小問集合(公民分野)

今年度も大問3題構成、小問数が49問でうち論述問題が3問でした。解答欄が広い2問の論述問題は、設問文にあるヒントを手掛かりにすれば解答を書けるレベルです。例年通り、地理と歴史分野の比重が高い問題構成ですが、短答式で比較的解きやすい問題が多い公民分野は確実に得点したいところです。難度の高い一部の問題を除き、全体的には標準レベルの問題が並びます。基礎基本を徹底し、さまざまな問題形式で演習を積み重ねましょう。

 

2017年

算数

大問1 小問集合
大問2 点の移動
大問3 水量変化とグラフ
大問4 立体の表面積(割合・不定方程式)
大問5 積み木の切断

小問集合は計算問題が2問、場合の数が3問でした。大問2は立方体の表面上にある線上の動点の問題で、調べる問題です。大問4の立体の表面積の問題では円周率以外の数を操作する問題で、桜蔭頻出の不定方程式が出題されました。大問5の立体の切断は、丁寧に構造を考察できれば取り組みやすい問題でした。日ごろから途中式も含めて、丁寧に正確に解く練習が必要です。傾向として規則性や調べる問題や整数問題や速さはよく出題されます。

国語

大問1 随筆文(吉村萬壱『生きていくうえで、かけがえのないこと』)
大問2 物語文(竹西寛子『木になった魚』)

昨年度の説明文もそうでしたが、桜蔭は淡々とした筆致の文章を好みます。今年度出題された二つの文章はまさにそんなタイプ。起伏がはっきりしている文章であれば読解ポイントを見出しやすいのですが、この種の文章の読解は「行間」を丁寧に読み取り、それを具体化する作業が求められます。求められる記述量ですが、昨年度までと比較すると今年度は相当減りました。その分、一つ一つの記述を丁寧に仕上げていかねばなりません。

理科

大問1 ふりこの運動
大問2 鳥の渡りと太陽コンパス
大問3 太陽の動きと日かげ曲線(日時計)
大問4 発電と環境問題
大問5 溶解度

全体的に平易な問題が多く見られました。大問2は過去に他校でも出題されたことのあるテーマです。大問5の溶解度の計算は実験操作を丁寧に整理していく必要がある桜蔭らしい問題で、差がついたと予想されます。本校には実験結果から考察していく問題が多く出題されています。日ごろから、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を見抜く力をつける学習、時事的な話題に目を向けることを意識しましょう。

社会

大問1 地理総合(富山県)
大問2 歴史総合(茶の歴史)
大問3 総合問題(世界遺産)
大問4 公民分野の小問集合

例年通りの出題構成で地理・歴史分野の比重が重くなっていますが、時事問題は難しくないので合格のためには着実に得点を重ねたいところです。試験時間30分に対して小問は49問、そのうち制限字数が30字以内と50字以内の論述問題が2問出題されました。全体的にリード文が長いので時間配分には注意を要します。高得点が必要な試験ですが、闇雲に学習内容を掘り下げて難しいレベルを追い求めるのではなく、幅広い知識を正確に定着させることが重要です。

 

2016年

算数

大問1 ⼩問集合
大問2 代⾦と個数(不等式)
大問3 ⽴⽅体を組み合わせた図形の回転体
大問4 時間の経過と⽔量変化
大問5 旅⼈算

⼩問集合は計算問題が2問、規則性が2問、円の転がりが1問でした。⼤問2は消費税を考慮する代⾦と個数の問題で、おまけのシールの枚数について考えます。⼤問4の噴⽔の池の深さを求める問題は単位換算を含め計算量が多くなるので、正確さが求められます。⼤問5の旅⼈算は順を追って条件が読み取れれば、取り組みやすい問題でした。⽇ごろから途中式も含めて、丁寧に正確に解く練習が必要です。傾向として規則性や調べる問題や整数問題や速さはよく出題されます。

国語

大問1 説明⽂(⾹⼭壽夫『建築を愛する⼈の⼗⼆章』)
大問2 物語⽂(梨⽊⾹歩『岸辺のヤービ』)

⼤問1の説明⽂は「⾨」について考察する⽂章。内容的には難しくはありませんが、淡々とした筆致のため、ある種の読みづらさを感じた受験⽣がいたかもしれません。問3の⼆百字記述は設問の条件(「そうした〜」が指すものと「かたちを持つ」を具体化したものをつなぐ)をしっかり読みとれば解答できるでしょう。⼤問2は福⾳館創作童話シリーズの⼀作より出題。ファンタジー作品が中学⼊試で登場することはあまりないため、⾯⾷らった⼈もいたことでしょう。

理科

大問1 気象(台⾵・雲)
大問2 密度と浮⼒
大問3 ⽔溶液の性質・指⽰薬(アントシアニン)の変化
大問4 花芽形成のしくみ
大問5 実験操作の注意点

⼤問4は⾒た⽬の分量の割に実験の⼿順や結果が明瞭であるとともに、過去に他校でも出題されたことのあるテーマですので、落ち着いて解けた受験⽣も多かったと思われます。字数制限(80字以内)のある記述問題が今年度も出題されました。本校には実験結果から考察していく問題が多く出題されています。⽇ごろから、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を⾒抜く⼒をつける学習、時事的な話題に⽬を向けることを意識しましょう。

社会

大問1 地理総合(⽇本の活⽕⼭)
大問2 歴史総合(資料から読み取る歴史)
大問3 総合問題(紙幣の歴史)
大問4 公⺠分野の⼩問集合

時事問題の切り⼝はありますが、基本的には地理と歴史の⽐重が⾼い傾向にあり、都道府県に関する問題は頻出です。今年度も幅広く正確な知識と、その知識を⽣かす⼒を必要とする問題が並んでいます。⼤問3にある「1953年発⾏の100円紙幣の肖像をGHQの許可なく変更できた理由」を問う問題はその典型です。闇雲に難度の⾼い問題を解くのではなく、標準レベルの学習において周辺知識にも⽬を向けること、事柄や出来事の背景も知ろうとする貪欲な姿勢が求められます。

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