理系の本は難しい? 理系分野への入門にうってつけな珠玉の3冊

『文系のための理系読書術』齋藤孝 集英社インターナショナル『世界でいちばん素敵な理科の教室』(三才ブックス)
『インフォグラフィックスで学ぶ楽しいサイエンス 科学について知っておくべき100のこと』(創元社)

理系の本は難しい?

理系の話題になると、どこかで「自分には縁がない」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。数字に弱い、科学が苦手、数式を見ると身構えてしまう……そんな理系アレルギーを抱える大人向けに書かれたのが齋藤孝さんの『文系のための理系読書術』です。

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集英社インターナショナル
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本書の冒頭で、齋藤さんは「世の中の重要な知識の半分以上は理系的なもの」と述べています。数字の感覚、因果関係の捉え方、科学的な見方など、理系の思考にふれることで、ものごとの輪郭がくっきりと浮かび上がって見えてくるようになります。単に専門知識を得るというよりも、世の中の見方そのものをアップデートするような、そんな読書の力を感じさせてくれる一冊です。

「入門書を探すための入門書」

とはいえ、理系といってもその範囲は広く、どこから手をつけてよいかわからないという方も多いはず。本書では、齋藤さん自身が知的好奇心に突き動かされて読んできた数々の理系書が紹介されており、「入門書を探すための入門書」としても心強い内容となっています。

小説から専門書までを数珠繋ぎ式に

構成もユニークで、たとえば第一章の「生物と進化のフロンティア」では、瀬名秀明さんの「パラサイト・イヴ」が取り上げられ、理系の領域の知識を、小説を通してエンターテイメントとして楽しむ方法が紹介されています。

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「パラサイト・イヴ」は人間の細胞に存在する微生物、ミトコンドリアが覚醒し、人間をのっとっていくという科学ホラー小説ですが、その紹介の後ろにはミトコンドリアについてもっと掘り下げた本、微生物の世界、人類の進化、生物学の紹介……とこの章だけで14冊もの本が並びます。

大人が興味を持つ姿を見せること

齋藤さんの親しみやすい文体のおかげもあって堅苦しい雰囲気はなく、エッセイのような軽やかささえあります。これまで触れてこなかった方ほど、理系ってこんなに身近で面白いものなのかと驚くかもしれません。

そばにいる大人が「理系分野って面白いな」と感じることができれば、その好奇心はきっと子どもたちにも伝わっていくはずです。今回は、科学やサイエンスに対して小学生が自然に親しめるような、写真やイラストが豊富な本を2冊ご紹介します。最初の一歩にぴったりな、“ワクワク”が詰まった科学の本たちです。

『世界でいちばん素敵な理科の教室』(三才ブックス)

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「雷はなぜジグザグになるの?」「風船がいくつあれば、人は浮くことができる?」
そんな素朴な疑問に、やさしい言葉と美しい写真でこたえてくれる一冊です。小学生までの子どもたちを対象に実験授業を行う麻布科学実験教室の阿部昌浩さんが監修を務め、大人が読んでも「へえ!」と驚く発見があり、理科の世界がぐっと身近に感じられます。

親子で楽しめるコラムや美しい写真

間に挟み込まれたコラムのページには「炭酸水を作ってみよう「風船を使って実験しよう」など、身近なものを使って簡単にできる実験も紹介されています。

「世界でいちばん素敵な教室」シリーズはまるで写真集のように美しい写真が多いのも特徴で、親子でページをめくるだけでも楽しめます。

『インフォグラフィックスで学ぶ楽しいサイエンス 科学について知っておくべき100のこと』(創元社)

情報を視覚的に伝える「インフォグラフィックス」という手法を使い、科学の基礎知識を、イラストと図解でわかりやすく紹介したビジュアル事典です。

「メビウスの輪は・・・」「クモの糸は・・・」とテーマごとにたっぷり1ページ使われ、物理、化学、生物、地学と幅広い分野をカバーしながら、どのページから読んでも楽しめる構成が魅力。

難しいテーマもカラフルで視覚的に整理された大人の「学び直し」にもぴったりな1冊

巻末には用語解説、索引もついており、難しいテーマもカラフルで視覚的に整理されています。小学生はもちろん、大人の「学び直し」にもぴったりではないでしょうか。好奇心を刺激する100の項目が、科学の世界への入り口になります。

今回は理系分野への入門書として写真やイラスト満載の本を紹介しました。漫画のジャンルの中にも科学分野に触れた素晴らしいものがいくつもあり、子どもたちに人気があると聞きます。大事なのは知的好奇心が刺激されるようなものであること。漫画ならではのわかりやすさというのもあると思いますから、形式にこだわらずにハードルが低く感じられるものを選んでみてくださいね。

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