女子学院中学校の入試問題分析(2016-2018年)

2018年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 立体図形
大問3 仕事算
大問4 場合の数
大問5 過不足算
大問6 規則性
大問7 食塩水

昨年まで大問6題構成での出題が続いていましたが、4年ぶりに大問7題構成となりました。試験時間に対して問題量が多いため、テンポ良く解き進めていかなければなりませんが、大問1の(5)の等積変形や、大問3の答えに範囲がある仕事算、大問5の条件が複雑な過不足算など、受験生にとって手が止まる可能性のある問題が散見されます。どこに時間を費やすべきかを的確に判断する必要があります。

国語

大問1 論説文(岡田美智男『〈弱いロボット〉の思考』)
大問2 随筆文(青木奈緒『幸田家のことば』)
大問3 随筆文(青木奈緒『幸田家のことば』)

すっかり二題構成が定着した女子学院の国語。以前は抜き出しや記号問題が中心でしたが、近年は決して多くの分量ではないものの、幾つもの条件記述問題を手際よく処理していかねばなりません。大問1はロボット掃除機について説明した文章。大問2は随筆文であり、本校が好む老成円熟味のある文章で、読みづらさを感じた人がいたのではないでしょうか。なお、本校が青木奈緒の文章を入試問題の題材にかるのは二度目です(前回は平成18年度。12年ぶりの出題でした)。

理科

大問1 化石と進化・不定時法について
大問2 光合成と蒸散作用・乾生植物について
大問3 クエン酸と重曹の中和と吸熱反応・水溶液の性質
大問4 豆電球の回路と電流

40分で多くの問題(今年度は小問59問)に解答する形式は例年通りですが、近年は思考力重視の問題(中には高校で学習する内容)が増加し、難化傾向が続いています。今年度は大問2・3のデータの意味を捉えるのに苦戦した受験生が多くいたものと予想されます。本校の理科は高い処理能力が求められます。テンポよく解き進めるためには、深い理解と広い知識を身につける必要があります。日ごろから本質を追求した質の高い学習をおこないましょう。

社会

大問1 女性史
大問2 近世の政略結婚
大問3 明治時代の農村
大問4 識字率の変遷
大問5 政治分野への女性の参加

昨年度並みに今年度も小問数が45問で、以前より20問ほど減少しています。一方で今年度も論述問題が4問出題され、3問は知識の説明ではなく初見の表・グラフの読み取りなど、よく考えて解答を導く必要のある難度の高い問題です。今年度は大問5題すべてが「女性」をテーマとした切り口でした。全体的に難度の高い問題が多く、また日頃から社会へ目を向けて問題意識を持つことを求められる内容で、高いレベルでの学習が必要になっています。

 

2017年

算数

大問1 小問集合
大問2 速さ
大問3 整数の利用
大問4 特殊な時計
大問5 売買損益
大問6 水そうとグラフ

問題中の空欄の数が20個と若干問題量が減りました。計算上は1問にかけられる時間が2分ですので、例年よりはじっくり取り組むことができたのではないでしょうか。途中式を記述する問題は2問でした。さて、今年の本校の問題は解きやすい問題が中心でした。例年のようないわゆるストッパーがありませんでしたので、スムーズに最後まで解き切れた受験生も多かったかもしれません。しかし、来年も同じとは限りません。問題の取捨選択を手早くおこなう訓練をしていきましょう。

国語

大問1 随筆文(富安陽子『昔話の「働き者」と「怠け者」』)
大問2 説明文(三中信宏『分類志向の世界』)

かつての三題という独自の構成はこの数年なくなり、すっかり二題構成が「板について」きた女子学院の国語。学校側が受験生の「書く力」をみたいのでしょう。しかし、女子学院が好む文章はいまも昔も不変(随筆+説明系)。とりわけ大問1の随筆文は「老成円熟」の文体。聞き慣れないことばが散見され、読みづらく感じた人もいるかもしれません。記述問題はオーソドックスな条件記述ばかり。合格点を狙うなら高得点が求められます。

理科

大問1 太陽系の惑星
大問2 暖かさ指数と森林の形成
大問3 水の状態変化・熱伝導・塩酸と金属の反応
大問4 ふりこの運動と衝突

40分で多くの問題(今年度は小問61問)を解いていく形式は例年通りです。大問2の「暖かさ指数」に関する問題は、やや難度も高く、苦戦した受験生も多かったと予想されます。大問3は化学分野の様々な内容が盛り込まれており、頭の切り替えが必要でした。本校の理科は高い処理能力が求められます。テンポよく解き進めるためには、深い理解と広い知識を身につける必要があります。日ごろから本質(原理や原則)を追求した質の高い学習をおこないましょう。

社会

大問1 日本の農業
大問2 メディアと歴史
大問3 交通
大問4 難民と国際社会

今年度の小問数は46問でした。数年前に比べるとずいぶんと少なくなりましたが、その一方で論述式の問題が増え、今年度は計8問が出題されています。毎年テーマはさまざまですが、出題形式は例年通りですので、過去問題に慣れ親しんでおくことは大切です。以前に比べ時事的な問題は少なくなりましたが、ニュースや新聞に触れて、社会・世界の今に通じておきましょう。

 

2016年

算数

大問1 計算・約束記号・速さ・⾓度・周囲・⾯積
大問2 動ける範囲の⾯積
大問3 仕事算
大問4 ⽔そうを傾ける
大問5 変形カレンダー
大問6 平均(出題ミス)

問題中の空欄の数が24個と昨年並みのボリュームでした。1問あたり100秒のスピードで解かなければ全問解答は出来ない計算になります。さて、今年の本校の算数では⼤問6に出題ミスがありました。最後の問題であったことが不幸中の幸いです。本校に向けて⼗分に準備を整えてきた受験⽣は、この問題を捨てて⾒直しに取りかかったのではないでしょうか。しかしながら、出題ミスがあったことは⼤きな問題です。今後はこのようなことがないように期待したいと思います。

国語

大問1 随筆⽂(⽥中淑恵『本の夢 ⼩さな夢の本』)
大問2 論説⽂(清⽔眞砂⼦『幸福に驚く⼒』)
大問3 漢字の書き取り

3題構成だった⼊試問題が平成25年度以降2題構成となりました。今年度も2題構成です。⼤問1は随筆⽂、⼤問2は論説⽂です。前者は語彙レベルが⾼く筆致が淡々としている⽂章のため、読みづらく感じた受験⽣がいるかもしれません。⼤問1のポイントは⽐喩の具体化です(問2・7)。⼤問2は巨視的な読解⼒を試す設問が多く⾒受けられました。合格点を奪取するためには、特に論理的⽂章を徹底的に精読することが必要です。努⼒する受験⽣を裏切らない、そういう⼊試問題です。

理科

大問1 ⽕⼭・⼈⼯衛星と⼩惑星探査機
大問2 捕⾷者と被⾷者の個体数変化
大問3 ろうそくの燃焼・物質の性質と分類
大問4 電熱線と電流・発熱

40分で多くの問題を解かなければならない形式は例年通りです。今年度は⼤問1で時事問題が出題されました。全体としては平易な問題が多く、例年よりも⾼得点勝負だったと思われます。本校の理科は、⼤半が選択肢や⽤語を答える問題ですが、記述問題なども出題されます。テンポよく解き進めるためには、深い理解と広い知識が備わっている必要があります。⽇ごろから本質(原理や原則)を意識した質の⾼い学習をおこないましょう。

社会

大問1 地理・歴史総合
大問2 歴史(近世・近代)
大問3 地理・公⺠総合
大問4 公⺠(地⽅⾃治)

問題形式は例年通り。今年度のテーマは交通です。⼩問数は全65問と、多くの設問に対してのスピーディな解答能⼒が問われました。⼤問1は新潟県を題材に、主に地理分野から出題されました。⼤問2は主に近代史。政治・外交が中⼼の出題です。⼤問3は三陸鉄道をテーマにして、主に公⺠分野からの出題です。そして、⼤問4は⼣張市を題材に地⽅の窮状への理解が問われました。必要とされるのは幅広い知識。最難関レベルの問題です。

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