海城中学校の入試問題分析(2016-2018年)

2018年

算数

大問1 小問集合
大問2 旅人算
大問3 数の性質(約数の逆数の和)
大問4 円の中を円が転がる問題
大問5 場合の数(道順)
大問6 立体図形(立方体の切断)

受験者平均点は68.1点(57%)合格者平均点は83.2点(69%)と昨年度より問題が難しくなりました。小問集合は、計算問題が1問、差集め算、おまけの問題、三角形の三分割の問題でした。大問3の数の性質の問題では、上位校特有の誘導に乗るタイプの問題でした。大問6の立体の切断は頻出問題です。例年よく練られた良問が出題されます。同レベルの男子校の問題を数多く取り組むことが対策になります。

国語

大問1 物語文(瀬尾まいこ『君が夏を走らせる』)
大問2 論説文(岡田美智男『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』)

120点満点で合格者の平均点は75.4点(昨年度は79.2点)でした。本校の国語の特徴は読解問題2題(大抵は物語文と論説文)の中に漢字と記述問題の2~3題がある他は、選択問題がほとんどを占めるという点です。選択肢にそれほど紛らわしいものはなく、本文中の根拠を正しくおさえていけば正解が得られますので、ここでの失点は避けたいものです。大問1の心情変化は、普段からこの類の記述練習をどれだけ積んできたかで差がついたと思われます。

理科

大問1 浮力
大問2 気体の性質
大問3 植物群系と気温・降水量の関係
大問4 日食を題材とした総合問題

合格者平均点は49.9点(62.4%)で、例年よりも高くなりました。一度は解いたことのある問題も多く、取り組みやすかったはずです。しかし、易化傾向が来年度以降続くとは限りません。本校の理科は難度が高く、戦略的な学習が必要です。典型問題や基本事項の早期定着はもちろんのこと、初見の問題に対応するために「図表から原理や法則などを見抜く訓練」と「表現力と記述力の養成」に注力しましょう。過去問題の演習と解き直しが重要です。

社会

大問1 総合問題

今年度のテーマは「瀬戸内海におけるさまざまな船」でした。長めのリード文といくつかの論述問題を含んだ12問前後の小問数という出題構成にも変化はありません。今年度の論述問題は、50字以内、100字以内、200字以内が各1問ずつでした。論述問題は与えられた資料を基に解く形式ですが、試験時間を考えるとある程度はゆとりを持って取り組める分量です。過去問題学習を通じて資料の読み解きと解答をつくる練習をくり返しましょう。

 

2017年

算数

大問1 小問集合
大問2 集まりの問題
大問3 数表(平方数)
大問4 通過算
大問5 図形の移動とグラフ
大問6 立体図形(三角すい・断頭三角柱)

受験者平均点は79.1点(66%)合格者平均点は95.0点(79%)と昨年度より問題がやさしくなりました。小問集合は、計算問題が1問、食塩水、角度、比の文章題、面積比でした。大問5は直角三角形を平行移動をさせ、重なり部分の面積変化のグラフの問題でした。グラフには放物線が描かれており、面くらった受験生もいたことでしょう。例年、よく練られた良問が出題されます。同レベルの男子校の問題に数多くじっくりと取り組み対策をしましょう。

国語

大問1 物語文(ガブリエル・ゼヴィン『書店主フィクリーのものがたり』)
大問2 論説文(小田嶋隆『13歳のハードワーク』)

今年度の海城の国語は受験者平均点67.7点、合格者平均点76.2点でした(120点満点)。大問1・2合わせて18問出題された選択肢問題は取り組みやすいものが多く、ここで5問以上のミスは許されないでしょう。差がついたと思われるのは大問2。「子どもは夢を持ってはいけない」という常識を逆撫でするような内容の文章(もちろんこれはある種のアイロニーですが)。読みづらく感じた受験生が多かったと思われます。

理科

大問1 力のつり合い
大問2 気体の性質・燃焼
大問3 聴覚が成立する原理
大問4 地球の歳差運動と気候変動

合格者平均点は42.0点(52.5%)と昨年度(58.5%)からさらに難化しました。大問1はグラフを読み取って分析する力、大問3は説明文から自分の知識や経験と関連付ける力が問われています。本校の理科は難度が高く、戦略的な学習が必要です。典型問題や基本事項の早期定着はもちろんのこと、初見の問題に対応するために「図表から原理や法則などを見抜く訓練」を重ね、「表現力と記述力の養成」に注力しましょう。過去問題の演習と解き直しが重要です。

社会

大問1 自動車社会

今年度のテーマは「自動車」でした。やや長めのリード文を読み、12問の小問に挑戦します。本校ならではの大型論述問題は計4問。50字が2問、100字が1問、そして150字が1問です。実際の解答用紙を見ると、それぞれの論述問題にはABC式の評価欄が2列並んでおり、学校の先生のお話では2名の採点担当者がいらっしゃるとのことです。採点担当の先生方に良い印象を与えるためにも、論旨がはっきりとわかる答えをていねいな字で書きましょう。

 

2016年

算数

大問1 ⼩問集合
大問2 数の性質(剰余系)
大問3 旅⼈算とグラフ
大問4 相似
大問5 不定⽅程式
大問6 三⾓形の道順

受験者平均点は68.8点(57%)合格者平均点は83点(69%)でした。⼩問集合は、計算問題が1問、⾷塩⽔、三⾓すい台の体積でした。⼤問4は直⾓三⾓形の折り返しの問題でした。相似の基本がしっかりと定着していない太⼑打ちできないでしょう。⼤問5はいもづる算ですが、⾼度な計算処理能⼒が要求されます。例年、よく練られた良問が出題されます。同レベルの男⼦校の問題に数多くじっくりと取り組み対策をしましょう。

国語

大問1 物語⽂(⻄加奈⼦『サラバ!』
大問2 随筆⽂(⾓⽥光代『世界は終わりそうにない』)

合格者平均点は71.6点(昨年度は96.3点)で問題構成は昨年同様でしたが、記述問題での字数が⼤幅に増えたこと(80字と120字)、記号選択に紛らわしいものが多かったことなどから、昨年度と⽐較して難度が上がりました。⼤問1は2015年の直⽊賞受賞作品で、エジプトの⽇本⼈学校に通う主⼈公の成⻑物語です。⼤問2は⼈の「顔の使い分け」、「⼆⾯性」についての随筆⽂です。普段から解答根拠をおさえて問題を解く習慣をつけることが⼤切です。

理科

大問1 光速の測定(フィゾーの実験)
大問2 物質の状態変化・溶解度と熱量計算
大問3 呼吸器官
大問4 気象衛星の画像・天気図の読み取り

合格者平均点(得点率)は46.8点(58.5%)で昨年度(65.4%)より難化しました。⼤問1と⼤問2は問題⽂の誘導に従って丁寧に計算することが求められ、差がついたものと思われます。⼤問4で出題された可視画像と⾚外画像の違いについて記述させる問題(リード⽂中にヒントあり)は⼤変興味深いものでした。各単元の典型問題を確実なものにし、初⾒の問題にも対応できる思考⼒と記述⼒を養いましょう。

社会

大問1 総合問題

今年度のリード⽂のテーマは「道」。五街道や⾼速道路など、「道」の歴史が記されています。ユニークな問題としては砂漠や極地の輸送⼿段として利⽤される動物の絵を選んで答える記号選択問題がありました。そして、本校の特⾊である⻑⽂記述問題ですが、今年度は3問出題されました。そのどれもが図・資料・グラフの内容を読み取って答えさせるという、かなり難易度の⾼いもの。過去問題演習を通じて、「解答をつくりあげる」訓練が必要です。

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