中学受験国語に出る文豪作品|親子で学ぶ日本の文豪入門
齊藤美琴先生がイチオシの書籍を紹介する連載企画「読書で世界を広げよう」。今回は中学受験国語の入試でも取り上げられることの多い文豪たちを一気に学べる一冊『語れるようになる 日本の文豪』をご紹介します。 

中学受験国語にもつながる日本の文豪入門

「文豪」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべるでしょうか。夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、宮沢賢治……。

名前は知っていても

「なんだか難しそう……」

「昔の文章で読みづらそう……」

などと感じる方も多いかもしれません。

語れるようになる 日本の文豪

今回紹介するのは、成美堂出版の『語れるようになる 日本の文豪』。明治から昭和にかけて活躍した文豪たちの人生や代表作を、オールカラーでわかりやすく紹介した一冊です。

地図や人物相関図、写真資料などもたっぷりと載っていて、「誰と誰が交流していたのか」「どんな時代を生きていたのか」が色や写真を手掛かりにパッと見てわかりやすいつくりになっています。

文豪の人生を知ると名作が読みやすくなる

独特の文体や時代背景ゆえに、いくら「名作」と言われていても敬遠されがちな文豪の作品ですが、作品だけでなくその人自身を知ることで、不思議と文章が身近に感じられることがあります

夏目漱石は「大の甘党」だった

各ページにある「文豪びっくりエピソード」では、作品が生まれる背景になった事件や、プライベートに踏み込んだ話が満載です。たとえば明治の大作家、夏目漱石は、大の甘党で、ジャムを瓶から舐めるのが大好きだったそうです。胃潰瘍になってもやめられず、晩年は糖尿病に悩まされていたとのこと。

中学受験国語にも役立つ│親子で知る日本の文豪と名作の世界
※生成AIによるイメージ

志賀直哉は「大けが」から退院後、療養中に執筆

志賀直哉は山手線にはねられて頭蓋骨が見えるほどの大けがをし、奇跡的に退院した後、療養のために訪れた兵庫の城崎温泉で『城の崎にて』を執筆することになります。

こんなふうに日常が見える人間らしいエピソードを聞くと、有名な作家という肩書が外れて少し親しみやすい印象になりますよね。

そして、「どうしてこんな作品を書いたのだろう」「この時期にこんな出来事があったのか」と人生をたどっていくと、文豪同士のつながりも見えてきます。夏目漱石の門下から芥川龍之介へ、さらにその周辺へと、近代文学が一本の流れとして感じられるのです。

中学受験国語にも役立つ│親子で知る日本の文豪と名作の世界
※生成AIによるイメージ

 

歴史を学ぶことにもつながる

文学を通して時代を知り、人の生き方を知るという意味では、文豪作品に触れることは「歴史」を学ぶことにもつながっています。

もちろん、小学生のうちに文豪作品を大量に読む必要はありませんし、難しいと感じるのも自然なことです。ただ、「こういう作家がいる」「こんな作品がある」という入り口を知っておくだけでも、その後どこかで作品に再会したときの理解や親しみやすさが大きく変わってきます。

興味を持った人物の伝記漫画もおすすめ

『語れるようになる 日本の文豪』をきっかけに興味を持った人物がいれば、伝記漫画などでさらに深めてみるのもおすすめです。文豪たちの人生は波乱万丈で、人間関係や時代背景も含め、読み物として非常に面白いものがたくさんあります。

名作の舞台は、日本各地に点在しています。本書では「訪ねてみたい名作の舞台」「訪ねてみたい全国文学館」として地図も載っています。旅行先で「ここが『坊っちゃん』の舞台か」「この風景を見ながら宮沢賢治は作品を書いたのか」などとそれぞれの時代に思いを馳せることができると、旅の楽しみもまたひとつ増えていくはずです。

▼伝記漫画はこちらもおすすめです

中学受験でも頻出の文豪作品

芥川龍之介ー渋谷教育学園幕張でも出題

中学受験においても、近代文学作品は色々な学校で出題されています。

その中でも、渋谷教育学園幕張中は、大正から昭和期という少し古い年代の文章の出題がよくあることで知られていますが、2018年には芥川龍之介の『死後』が取り上げられています。

また、芥川龍之介といえば思い浮かべる人の多い『トロッコ』は、その短さから全篇通して取り上げられることが多く、物語全体を通しての心の動きを読み取る問題としてたびたび扱われています。

中学受験国語にも役立つ│親子で知る日本の文豪と名作の世界
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志賀直哉ー渋谷教育学園幕張・雙葉でも出題

志賀直哉も近年よく出題される作家の一人です。2024年度の渋谷教育学園幕張中で処女作と言われる『或る朝』、雙葉中で『菜の花と小娘』が出題されました。短い文章の中に、人間の感情の機微が丁寧に描かれているのが特徴です。

『菜の花と小娘』も志賀直哉の初期の作品で、春の山にて、少女と擬人化された小さな菜の花が心を通わせる短い童話です。アンデルセン童話に影響を受けて書いたと言われていますから、メルヘンな雰囲気があるのも納得です。両者の心情を丁寧に読み取り、記述させる問題に雙葉中らしさを感じます。

▼雙葉の2022年度入試で『菜の花と小娘』が取り上げられています。

開成、女子学院、雙葉などでも出題

芥川龍之介や志賀直哉だけでなく、室生犀星、太宰治、夏目漱石、川端康成なども入試でたびたび登場します。開成、女子学院、雙葉といった難関校でも出題例があり、文豪作品を知っていることは決して特別な教養ではなく、中学受験の世界では意外と身近なものなのです。

受験のためだけに読む必要はありませんが、入試問題をきっかけに文豪作品に触れたことで、その後ふと「この作家、知ってる」と感じられることがあります。そんな再会の種をまいてくれるきっかけとしてもおすすめの一冊です。

中学受験国語にも役立つ│親子で知る日本の文豪と名作の世界
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▼開成・女子学院・雙葉の最新の「入試問題の傾向と対策」は以下のリンクからご覧ください。

 

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